カスリーン台風(1947)とは

カテゴリ: 災害教訓

読み: かすりーんたいふう(1947)

 カスリーン台風とは、1947(昭和22)年9月14日~15日に紀伊半島の南海上を北上して北東に進路を変え、15日夜房総半島南端をかすめて16日に三陸沖へ進んだ台風で、豪雨による甚大な被害をもたらした典型的な“雨台風”として知られる。

 台風は、日本に接近したときは衰弱しており強風による被害は少なかったが、台風の影響で日本付近に停滞していた前線の活動が活発化し、関東地方と東北地方に大雨をもたらした。
 とくに関東南部では、利根川と荒川の堤防が決壊し、1都5県(群馬、埼玉、栃木、茨城、千葉、東京)にまたがるわが国最大の流域面積の利根川流域で死者1100人、家屋浸水30万3160戸、家屋倒半壊3万1381戸の甚大な被害となった。

 上流域山間部(支川・渡良瀬川最上流部の足尾から渡良瀬遊地)の土石流災害、扇状地急流河川による洪水土砂災害、大流量となる中流域の破堤災害(最大の死者・行方不明者を出した群馬県桐生市、栃木県足利市地域)、さらに埼玉、東京の沖積平野の氾濫(埼玉県東部から東京都江戸川区に至る中川流域)のように、多様な災害形態が発生した。
 関東以外でも東北地方で北上川の氾濫により大災害となったが、利根川では河道の付け替えによる人為的行為(利根川東遷事業)が特徴として顕著だった。

 カスリーン台風災害要因として、流域に固有な地質・地形条件と、利根川東遷という人為的な行為に特徴がある。これは首都圏での大規模水害の潜在的な特性であり、今日の首都圏で氾濫すれば、中央防災会議「首都圏における大規模水害の被害想定」(2008年3月)にみられるように、カスリーン台風当時とは比較を絶する激甚な被害が想定される。

 カスリーン台風災害では、GHQ(連合国軍政部)の強力な支援のもと政府、自治体が一体となって、破堤口の締切りや氾濫流対策、救援と復興に対応した。大規模水害では、市町村単位で全域浸水となる自治体も出ることから、広域的な支援体制の確立が肝要だ。
 また、現在では遺構となった「水塚」「揚げ舟」を再考し、その機能を現代に見合う形で復活させる方策や、避難場所として高層ビルやマンションの上層階を活用するなどの事前の対応準備が必要である。

 ちなみに“カスリーン”の名は、当時の米国式の台風命名法からきている。当時日本は米国を主とする連合国軍の占領下にあり、米国と同様、台風名はアルファベット順に女性の名前が付けられた(キティ台風、ジェーン台風なども同様。なお現在、米国ではハリケーン名など男女名を交互に用いる)。カスリーンは英名「KATHLEEN」であり、日本語では「カスリン台風」、「キャサリン台風」などの表記法もある。

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