プルトニウム(Pu)とは

カテゴリ: 環境

読み: ぷるとにうむ(Pu)

 プルトニウム(Pu)とは、天然ではウラン鉱石中にごく微量が存在するが、基本的に原子炉や粒子加速器で人工的に作られた超ウラン元素で、放射性元素である。人工的には、ウランの中性子照射でつくられ、プルトニウム239、プルトニウム241その他いくつかの同位体が存在している。
 半減期はプルトニウム239の場合約2万4000年(α崩壊による)。核兵器の材料と原子力発電の原子炉燃料として用いられる核物質である。プルトニウムは放射性崩壊によってα線を放出するため、体内、特に肺に蓄積されると強い発癌性を示すとされている。

 1945年8月9日に長崎に投下された原子爆弾にはプルトニウムが用いられた。その後、大気圏内で核兵器実験が繰り返され、プルトニウムが大気中に撒き散らされ、広く地上に降下した。降下量の正確な値はわからないが、約5トンに達すると推定されている。

 原子炉を運転するとプルトニウム-239が生成し、核分裂するとともに中性子を捕獲してプルトニウム240などが生じる。したがって原子炉内に蓄積するプルトニウムは、いくつかの同位体の混合物である。
 プルトニウムを利用して開発を試みている原子炉に「増殖炉」がある。これは、原子力発電の使用済み核燃料(ウラン、プルトニウム)をリサイクルして新しい核燃料を生成、それをプルトニウム239の高速中性子照射を用いる「高速増殖炉(FBR:Fast Breeder Reactor)」燃料として使おうというもので、プルトニウムを増殖させることで有限資源であるウランを使わなくても済むという「核燃料サイクル」をめざすものだ。

 核燃料サイクル計画の構想は“夢の計画”として1960年代に始まり、実用化実験に動き出したのは1990年代だが、核燃料サイクルの開発を進めてきたフランスを含む多くの国は開発を中止するに至っている(わが国は先行したフランスから技術協力を受けて推進中)。
 わが国の高速増殖炉(原型炉)「もんじゅ」(日本原子力研究開発機構。福井県敦賀市)は1995年12月に二次冷却系で溶融ナトリウムの漏洩があって開発が中断、現在も保全計画見直しなどで原子力規制委員会から運転再開準備禁止命令が継続されており、開発に1兆円以上がつぎ込まれたが実用化のめどは立っていない。

 また、わが国の原子力発電所で使用した核燃料を集めて、それから核燃料のウラン、プルトニウムを取り出すことを目的に、1993年から約2兆1900億円をかけて建設が進められている日本原燃「六ヶ所(ろっかしょ)再処理工場」(青森県六ヶ所村)も実用化の見通しは不透明だ。しかしそれでも、敷地内に核燃料サイクルに向けたMOX燃料工場の建設が予定されており、核燃料コンビナートを形成する計画だ。

 いっぽう、核燃料サイクルは破綻しているという議論がある。「わが国の原発はトイレのないマンション」と言われるように、もし核燃料サイクル計画が破綻すれば影響は大きい。原子力発電所から出る使用済み燃料のリサイクルができないということは、原発から出る高レベル放射性廃棄物処分の見通しがないまま原発を稼動させ続けることになる。核燃料サイクルの実現の可否は、「脱原発」を含めたわが国のエネルギー対策を左右するとみられる重要課題となっている。

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