中部圏・近畿圏直下地震とは

カテゴリ: 地震

読み: ちゅうぶけん・きんきけんちょっかじしん

 中部圏・近畿圏直下地震とは、中央防災会議「東南海、南海地震等に関する専門調査会」において検討された中部圏・近畿圏の直下で起こり得るとされる想定地震を言う。中部圏・近畿圏の内陸には多くの活断層があり、次の東南海・南海地震の発生に向けて、中部圏および近畿圏を含む広い範囲で地震が活動期に入った可能性が高いと考えられたことから防災対策が検討された。

 中部圏・近畿圏地域の市街地は府県境界を越えて広域化しており、大規模な地震が発生した場合、甚大かつ広範な被害が発生する可能性がある。「東南海、南海地震等に関する専門調査会」は、中部圏5タイプ、近畿圏8タイプの地震動を想定、最悪想定で死者は大阪平野直下の上町断層帯の地震(M7.6)で約4万2千人(2007年11月公表)、経済被害約74兆円(2008年5月公表)とした。

 中央防災会議は2009年4月、「中部圏・近畿圏直下地震対策大綱」を策定した。対策のポイントとしては、中部圏・近畿圏の“弱点”(特徴的な被害事象)である老朽化した木造住宅の密集(老朽化木造住宅密度の全国ランクでワースト10市区中8市区を大阪府が占める)、文化遺産の数がきわめて多い(全国の重要文化財建造物の約4割、全国の国宝建造物の約7割が近畿圏に存在する)、大規模地下街、高層ビル、ターミナル駅等での膨大な滞留人口、広大なゼロメートル地帯(面積約460平方km、人口約230万人)、大阪湾、伊勢湾に集積する大規模な石油コンビナート、中山間地域にある多くの農業集落などが上げられた。また、中部圏・近畿圏の都市部は、経済活動などでわが国の東西を結ぶ交通・物流の要衝であり、交通インフラの耐震化、代替ルートの開発なども対策重点事項となった。

 2011年東北地方太平洋沖地震(東日本大震災)後は、国が個別に行ってきたすべての想定地震(東海地震、東南海・南海地震、日本海溝・千島海溝周辺海溝型地震、首都直下地震、中部圏・近畿圏直下地震)について見直しが迫られることになった。これまでそれぞれの想定地震について「地震像」に基づいて被害想定が行われ、予防対策から災害対応までを含めた政府の地震対策の基本方針(マスタープラン)である「対策大綱」、達成すべき減災の数値目標、達成時期、対策の内容等を明示した「防災戦略」、さらに災害発生時に関係機関の取るべき行動を示した「応急対策活動要領」が策定されている。
 しかし、日本海溝・千島海溝周辺海溝型地震で想定された宮城県沖地震の地震像・規模をはるかに上回る東日本大震災が発生したことを受け、すべての想定地震について、最悪事態を取り込んだ被害想定の再検証・再評価が求められている。

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