富士山宝永噴火(1707)とは

カテゴリ: 災害教訓

読み: ふじさんほうえいふんか(1707)

 富士山宝永噴火とは、江戸時代中期の1707(宝永4)年に起きた富士山の噴火で、富士山の歴史記録(10回噴火)のなかでも大規模な噴火であった。
 富士山は、気象庁による「常時観測対象火山」に指定されている。宝永噴火を最後に現在まで約300年間、噴火活動の静穏期にある。

 富士山宝永噴火では、一次被害では直接的な人的被害は記録されていないものの、降下した火砕物により建築物の倒壊や農作地の耕作不能化、山林・草地の荒廃、道路の遮断、さらに流出した火山灰がもたらした用水路・河川の氾濫など、農林業を中心とする生産活動・経済活動に長期かつ広範囲にわたって多大なる被害を与えた。
 なお、宝永噴火(1707年12月16日)はその49日前に起きた宝永東海地震(南海地震も同時発生)によって誘発されたとみられている。

 噴火による噴煙は偏西風にあおられ主に東麓地域に降灰被害をもたらした。江戸幕府の災害対応は十分なものではなく、また十分な治水工事を行えず、酒匂川(さかわがわ)下流の足柄平野などで100年もの長期にわたる土砂災害の二次災害を引き起こした。
 当時江戸に住んでいた新井白石は「降灰によって昼でも行灯(あんどん)をつけなければいけないほど空が暗くなった」と日記に書いている。

 富士山は10万年ほど前に誕生している。日本の多くの火山の寿命が50万年から100万年とされることから言えば、10万年である富士山は人間で言えばまだ子どもであり、さらに成長する火山と言えるかもしれない。

 2013年6月、富士山は世界文化遺産に登録された。その文化遺産である理由として、富士山が火山として人びとに畏(おそ)れられることで信仰の山となったのと同時に、人びとがその火山ゆえの恵みを享受してきた背景を忘れてはならない。

 世界的にみると、マグニチュード9クラスの巨大地震が起こった後、その周辺で大規模な火山噴火が誘発されるケースが多い。東日本大震災を経てしばらくは、日本の活火山の活動動向が注目される。
 富士山は活火山であり、いずれ噴火活動を再開することを想定しておくべきである。富士山の噴火は、地域住民のみならず他の地域の人びとにも大きな不安を与えるとともに、自然環境や幹線交通路への被害の広域性、土砂災害および観光業など、被災地の住民生活や経済活動に及ぼす影響の長期化が危惧される。
 社会的混乱への対策を考慮しておく必要があるとともに、富士山火山防災ハザードマップを活用した対策の実施が必要である。

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