放射性物質とは

カテゴリ: 環境

読み: ほうしゃせいぶっしつ

 放射性物質とは、放射能(放射線を出す能力)を持つ物質の総称である。放射線を出しながら、原子核が2個以上の核に分かれる「核分裂」や、ほかの元素へと変化する「核壊変」を行う物質を言う。地球上の物質はほぼ例外なく放射能を持つが、平均的な値を超えて放射能を含む物質を放射性物質と呼ぶ。

 放射線、放射性物質、放射能の関係は、よく懐中電灯を例にたとえられる。懐中電灯の電球から出た光が放射線、懐中電灯が放射性物質、そして、懐中電灯の光を出す能力が放射能ということになる。
 この例で言えば、もし放射線が照射されても、光が壁にさえぎられるのと同じように、さえぎる物があれば放射線を減らせるが、放射性物質の場合は、懐中電灯の光が懐中電灯を消さない限りなくならないのと同じで、放射線を出す放射性物質を取り除くか、放射能がなくならない限り、放射線は出続ける。

 放射性物質の放射能は時間とともに弱まり、最終的には放射線を出さない安定した物質になる。放射能の量が半分になるまでにかかる時間を「半減期」と言い、その時間は放射性物質の種類によって決まっている。
 例えば、福島第1原子力発電所の事故で大気中に放出され、住民の健康への影響が問題になった放射性のヨウ素131の半減期は8日と短く、16日で1/4と、8日経つごとに半分ずつに弱まる。セシウム137やストロンチウム90の半減期は約30年と長く、食べものなどを通じて体内に取り込まないように気をつけなければならない。これらは体内で骨や筋肉の成分などとして蓄積しやすい性質を持つが、セシウムは100日ほどで排出され半減する。

 放射性物質が放射線を出す能力、放射能の強さを表す単位を「ベクレル:Bq」と言う。また、人体が受けた放射線による影響の度合いを「シーベルト:Sv」、放射線のエネルギーが物質や人体の組織に吸収された量を「グレイ:Gy」という単位で表す。グレイはがん治療や放射線滅菌などの放射線の量を表す単位に使われる。

 放射性物質は、医療、産業、研究などの分野で幅広く活用されており、原子力発電で利用される核燃料、原子力施設から排出される放射性廃棄物、放射線治療に用いられる放射線源などがあるが、その取り扱いについては、購入から使用、廃棄に至るまで、質、量ともに厳格な管理が行われている。

 いっぽう、原子力発電所での使用後に発生する放射能レベルの高い「高レベル放射性廃棄物」の処理が課題になっている。わが国では、東京電力福島第1原子力発電所事故を踏まえた新たなエネルギー政策の方向性を示すものとして第4次エネルギー基本計画が2014年4月に閣議決定され、国が前面に立って最終処分(地層処分)に向けた取組みを進めることになった。
 これ以外の放射性廃棄物は「低レベル放射性廃棄物」と呼ばれ、発生者責任の原則のもとで、原子力事業者などが処分に向けた取組みを進めることを基本としている。

 なお、放射性物質として扱う必要がない物を区分する放射能レベルをクリアランスレベルと言い、産業廃棄物と同じようにリサイクルや処分ができるが、福島第1原発の事故以降はより厳しい管理が求められるようになっている。
 放射性物質を規制する法律としては、「放射性同位元素等による放射線障害の防止に関する法律」(放射線障害防止法)、「核原料物質、核燃料物質及び原子炉の規制に関する法律」(原子炉等規制法)などがある。

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