放射能汚染とは

カテゴリ: 環境

読み: ほうしゃのうおせん

 放射能汚染とは、放射性物質が安全に管理されず人の放射線被ばくが生じ得る状態、放射性物質によって環境(場所や物質の表面、固体、液体、気体など)、食物、人体が汚染される状態を言う。
 放射線は、人の臓器・組織に作用する結果として病気を引き起こす原因になり得る。

 人の放射線被ばくが起きる経路には、大きく分けて「外部被ばく」と「内部被ばく」がある。外部被ばくは、人体の外にある放射性物質(放射線源と言う)から発せられる放射線の被ばくであり、内部被ばくは体内に取り込まれた放射線源が発する放射線の被ばくとなる。

 核実験による“死の灰”、放射性同位元素の取扱いミス、原子力施設の事故などは深刻な放射能汚染の原因となる。放射能汚染で問題なのは、原子核崩壊によって放射性核種の量が半減するのに要する期間=半減期が長いベリリウム10(半減期250万年)、クロール36(同30万年)などと、生体の中に入ったまま体外に排出されにくいストロンチウム90(同28年)、セシウム137(同30年)などが増大することである。
 なお、これら物理的半減期と区別して、人の体内に取り込まれた放射性物質が代謝・排泄などの生物学的な過程で半減することを生物学的半減期と言い、また、人の体内に取り込まれた放射性物質が原子核崩壊と生物学的過程の両方によって半減するのに要する期間を実効(有効)半減期と言う。

 原子力発電では原子炉内でのウラン235の核分裂のエネルギーを利用するが、原子力発電所事故による放射能汚染の場合は、ヨウ素131、セシウム137、ストロンチウム90、コバルト60 などの放射性物質が生成され、次のような複数の経路で放射線被ばくが起きる可能性がある。
(1) 原子力発電所にある放射性物質などから発せられる放射線の外部被ばく
 放射線被曝の大きさは、人と放射線源との距離が近いほど、また、そこでの滞在時間が長いほど大きくなる。
(2) 原子力発電所から放出された放射性物質が風や雨で運ばれた後、人の皮膚や衣服、土壌などに付着して発する放射線の外部被ばく
 放射線被ばくの大きさは、放射性物質が原子力発電所から離れた場所に運ばれた場合、現に
放射性物質がある場所と人との距離、そこでの人の滞在時間、人と放射性物質との間のさえぎるものの状況によって決まる。
(3) 原子力発電所から放出された放射性物質が呼吸、飲食、傷口への付着などを通じて人の体内に取り込まれた後、体内で発する放射線の内部被ばく
 放射線被ばくは、放射性物質が人の体内に留まり、放射線を発する期間中継続する。

 なお、放射線に関する単位は、放射線を出す側の単位と受ける側の単位に大別することができる。放射能の強さの単位である「ベクレル(Bq)」は放射線を出す側の単位であるいっぽう、放射線を受ける側の単位には「グレイ(Gy)」(
吸収線量に用いる)と「シーベルト(Sv)」
(等価線量、実効線量、周辺空間線量等に用いる)がある。
 ちなみに東京電力福島第1原発事故において、わが国政府は、国際放射線防護委員会(ICRP)の緊急時被ばく状況における放射線防護の「参考レベル」(年間20~100ミリシーベルト)等を考慮し、このうちもっとも厳しい値に相当する年間20ミリシーベルトを採用して避難指示を行った。

 大きな放射能汚染事故の後では、汚染した動植物や汚染水、汚染した動物のミルクの摂取など、内部被ばくにつながるすべての可能な経路を考慮して対策が講じられるべきである。

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