率先避難者とは

カテゴリ: 津波

読み: そっせんひなんしゃ

 率先避難者とは、身近に危険の兆しが迫っているとき、あるいは危険情報に接したときに、その危険をイメージし、「自ら率先して危険を避ける行動を起こす人」、そしてその行動によって「周囲の人にも同様の行動を促し、危険回避行動を起こさせる人」を言う。自らが率先避難者となることで自らの安全を守り、同時に周囲の他者を危険から逃れさせることが可能となる。

 率先避難者という言葉は、岩手県釜石市の津波防災教育のなかでキーワードとされた言葉で、東日本大震災で約1000人の津波死者・行方不明者を出した岩手県釜石市にあって、“釜石の奇跡”と賞賛される避難成功事例をもたらした。発災当時、市内14の小中学校の校内にいた児童・生徒約3000人が率先して高台に向かって逃げ、全員が無事に逃げ切ったのだ。
 なかでも釜石東中学校とその隣りに立地する鵜住居小学校の子どもたちの行動は劇的だった。津波に追われながら、率先避難者として中学生が小学生を助け、近隣の大人たちの避難を促し、自らの判断で高所へ高所へと避難場所を変えるという驚くべき危機管理能力を示した。

 釜石市の津波教育の指導にあたっていたのは、わが国の津波避難研究の第一人者である群馬大学・片田敏孝教授だ。片田教授は避難3原則として「想定にとらわれるな」、「最善を尽くせ」、「率先避難者たれ」を掲げ、子どもたちの津波犠牲ゼロをめざしてきた。

 防災でやっかいなのは、危険が迫っても“タカをくくりたがる心理の壁”だという。“正常化の偏見”とも言われる心理学的な壁だが、その壁を乗り越えられる想像力・勇気を持つ人こそが、率先避難者だと言えよう。
 東日本大震災では消防団員の犠牲者も多かったことから、その教訓として、消防団員こそ率先避難者たれという声も上がっている。

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