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「細胞初期化」で老化をリセット?若返りに結び付く発見 筑波大

iPS細胞によって細胞を初期化すれば、老化がリセットできるかもしれないという新仮説を筑波大学などの研究チームが発表した。(写真はイメージ Flickr)

 「老化」は従来、細胞内のミトコンドリアが突然変異によってエネルギーを生産する機能が落ちることが原因だと考えられてきたが、筑波大学などの研究チームは、細胞の機能低下は、DNAが「メチル化」という変化を起こすことで老化に結びつくという新たな説を発表した。機能低下した細胞をiPS細胞で初期化すれば、老化を遅らせることも可能だとしている。


 ミトコンドリアは、酸素を呼吸することで生命活動のエネルギー源となる「アデノシン3リン酸(ATP)」を合成している、言わば細胞内のエネルギー工場だ。したがって、加齢でミトコンドリアの呼吸機能が衰えると、DNAに突然変異が起こり、老化につながるというのがこれまでの説(老化ミトコンドリア原因説)だった。


 筑波大の林純一特命教授や、京都大学iPS細胞研究所などのチームは、胎児~12歳までの子供と、80~97歳までの高齢者の二つのグループから集めた体細胞を分析した結果、ミトコンドリアDNAの突然変異に年齢による差がないことを確認した。


 そこで高齢グループの細胞からiPS細胞を作って「初期化」し、これらを再び体細胞に分化させてからミトコンドリアの呼吸機能を比較したところ、高齢グループから作ったエネルギー機能は子供グループのレベルにまで回復した。


 iPS細胞では、細胞核の時間を胎児状態に巻き戻す「初期化」が起きるため、たとえ「初期化」してもミトコンドリアDNAの突然変異は消えない。このことから、研究チームは、老化による機能低下は、可逆的現象である「メチル化」が原因だと結論付けた。


 さらに、機能低下した細胞にアミノ酸の一種「グリシン」を加えると、機能がかなり回復したことから、研究チームでは「グリシンを摂取すれば老化を遅らせることが期待できる。今後はマウスを使った実験で、グリシン投与がミトコンドリアの機能回復に有効かどうか研究を進めたい」と話している。

 

 なおこの論文は、英科学誌「サイエンティフィック・レポート」電子版に掲載された。

老化に関する従来の仮説と、今回発表された新たな説の比較

老化に関する従来の仮説と、今回発表された新たな説の比較。従来は加齢にともなうミトコンドリアの機能低下(呼吸欠損)は突然変異が原因だと考えられていた。新説では細胞核がゲノム修飾(メチル化)という可逆的な変化を起こすと考えられている(提供:筑波大学)

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