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東日本大震災を起こした「スロースリップ」に1~6年の周期を発見

プレート境界でのスロースリップの周期と強さの分布を表した地図。赤い線は、宮城~茨城の沖合にわたる東北沖地震過去に起きた地震のすべり域を示す(提供:東北大)

 東日本大震災をもたらしたプレート境界では、巨大地震を引き起こす急激な断層すべり以外に、揺れを感じないほど断層がゆっくりずれ動く「スロースリップ」が起こる。東北大学などのグループは、北海道から関東の太平洋沖のプレート境界で1~6年の周期的なスロースリップが発生していることを初めて明らかにした。大地震発生の予測につながる研究成果だとして注目が寄せられている。


 「スロースリップ」は、プレート境界の周辺の断層内部に生じる応力を増加させ、大地震の発生につながると指摘されていることから、現在多くの研究者が注目している。日本周辺では、関東から西に位置するフィリピン海プレートで周期的なスリップが観測されているが、東日本大震災を引き起こした東北沖ではこれまで確認されていなかった。


 東北大・災害科学国際研究所の日野亮太教授と海洋研究開発機構などの国際研究グループは、過去28年間にわたるプレート境界で発生した地震と地殻変動の観測データを分析。その結果、スロースリップの活性期と停滞期が周期的に繰り返されていることを突き止めた。


 具体的には、三陸沖ではスロースリップの速度が約3年周期で変動している事実を発見。変動にともない、すべり速度が速い時期は遅い時期に比べて、マグニチュード5.0以上の地震発生頻度が6.2倍増えることがわかった。

 
 スロースリップの周期は地域ごとに異なるが、およそ1~6年のスパンがある。過去に大地震が起きた北海道・釧路沖や福島県沖では比較的周期が長いが、下北半島沖や岩手県の三陸沖では3年ほどと短い。東日本大震災では、発生の1年前から震源の約130キロ北の岩手県北部沖がスロースリップの活性期に入っていたし、1994年12月の三陸はるか沖地震(M7.6)も、周期内の発生だ。


 研究グループは「スロースリップは、大地震に先行する予兆のひとつとして考えられていて、活性期に必ず大きな地震が発生するというものではないが、ほかの期間より可能性は高まる。周期性に着目すれば、大地震予測の精密化が期待できる」と話している。


 なおこの研究成果は、米科学誌「サイエンス」電子版に掲載された。

スロースリップ

岩手県の三陸沖のプレート境界でも、東部(上)と西部(下)ではすべり速度の周期がわずかに異なる。赤線はすべり速度に当てはめた周期数で、図上部の星は、マグニチュード5.0以上の地震の発生を示す(提供:東北大)

スロースリップ

プレート境界で発生するスロースリップの概念図(提供:東北大)

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