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防災歳時記6月17日愛が残した世界遺産

世界遺産タージ・マハールは妻ムムターズ・マハルの死を悼んだシャー・ジャハーンが21年の歳月をかけて建立した(撮影: rachel in wonderland)

 今から382年前、1631年の今日6月17日にインドで一人の女性が亡くなった。享年36歳。

 

 彼女は夫に深く愛され、14人もの子どもをもうけた。(成人できたのは6人だけだが)

 

 彼女の名前は、ムムターズ・マハル。ペルシャ語で「宮廷の選ばれし者」。

 

 彼女の夫はムガル帝国の第5代皇帝シャー・ジャハーン。

 

 皇位継承権がある一族の男をすべて殺して皇帝の座についたシャー・ジャハーンと妻ムムターズ・マハルの人生は裏切りと闘いと旅に明け暮れていた。

 

 ムムターズ・マハルが生涯を終えたのも、謀反を起こした臣下を討伐するための遠征先だった。

 

 激動の人生の最期に、彼女は「永遠なるもの」を求めたのか、彼女は遺言に「後世に残る墓」を所望した。

 

 彼女の死を嘆き悲しみ、すっかり髪も白くなった夫は、21年の歳月をかけて妻の遺言を実現した。

 

 タージ・マハール。

 

 妻の遺言どおり、300年後の今も世界遺産として残る、大理石で作りあげられた世界で最も壮大にして最も美しい墓。そのシンメトリーな美しさは「この世ならぬ光景」とでも表現すればよいのか。

 裏切りと闘いにまみれた半生だったからこそ、最後まで自分に付き従い、自分を信じてくれた妻へのシャー・ジャハーンの愛はこれほどまでに深かったのか。

 

 しかし人生の終わりに「永遠なるもの」を求めたムムターズ・マハルの想いとは裏腹に、「裏切りと闘いの連鎖」は、彼らの子どもたちへと引き継がれていく。

 

 父が後継者として選んだ、教養がありヒンドゥー教やバラモン教にも理解のある兄を、敬虔なイスラム教信者だった弟アウラングゼーブは背徳と感じ、兄の軍を破り、父を幽閉する。

 

 幽閉先で命を終えたシャー・ジャハーンはタージ・マハールに運ばれ、妻のそばに葬られたが、このシンメトリーな建築の中で、夫妻の墓の並び方だけがアシンメトリーになっている。

 

 それほどまでにアウラングゼーブの父に対する恨みは深かったのだろう。

 

 今日もイラクでは、イスラム教シーア派のマリキ政権に反発するアルカイダ系のスンニ派武装勢力による無差別テロが続いている。

 

 このテロにより、先月だけで1000人以上の罪なき人が命を奪われた。

 

 そしてシリアの内戦では9万人以上が犠牲になり、化学兵器サリンが使用されたという。

 

 どんなに「永遠なるもの」を求めても、「裏切りと闘い」は新たな「裏切りと闘い」しか生まないのか。

いくら「永遠なるもの」を求めても「裏切りと闘い」は新たな「裏切りと闘い」しか生まないのか(撮影: FreeRishad)

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