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防災歳時記6月27日「テロには屈しない」の意味

イスラエルのラビン首相(当時)は最後に「テロに屈しない」道を選んだ

 今から37年前、1976年の今日6月27日。リビア経由でアフリカ・ウガンダのエンテベ空港に駐機していたエールフランス機にイスラエル軍が突入した。

 

 イスラエルで服役中のテロリスト40人の解放を要求して「パレスチナ解放人民戦線・外部司令部(PFLP-EO)」がアテネ発パリ行きのエールフランス機をハイジャックしていたのだ。

 

 「エンテベ空港奇襲作戦」。

 

 ウガンダの独裁者アミン大統領の「車列」に偽装してエールフランス機に接近するという意表をついたこの作戦は、何度も映画化されているので「サンダーボルト作戦」と言えばご存知の方もいるだろうか。

 

 これによりハイジャック事件は鎮圧されたが、結局突入部隊の誤射などで人質4人が死亡した。

 

 当時のイスラエルのラビン首相は、多くの人質家族からテロリスト釈放要求を受けて、一時はテロリスト釈放に傾くが、結局、軍事作戦にGOを出した。

 

 ラビン首相は悩んだ末に、最終的に「テロに屈しない」道を選んだ。

 翌年、バングラディシュで、ダッカ日本航空機ハイジャック事件が起きる。約16億円の身代金と拘留中の日本赤軍メンバーの釈放などを犯行グループから要求されるが、当時の福田赳夫首相は「一人の生命は地球より重い」として、犯人の要求を受け入れた。

 

 いわゆる「超法規的措置」というやつだ。

 

 福田内閣は弱腰だったのか?いや当時の世界的な常識から言えば、人命優先なのはさほど違和感はなかった。

 

 しかしその後、世界各国は対テロ特殊部隊を次々に整備していった。

 

 と同時に米ソ冷戦構造が崩れ、世界の軍事的脅威の中心は「低強度紛争」、つまりテロやゲリラ、特殊工作活動などと認識されていく。

 

 そして今年1月、アルジェリア人質拘束事件が発生した。アルジェリアはテロに対して厳しい対応をすることでつとに知られている。

 

 アルジェリア軍が突入し、日本人10人を含む37人が犠牲となった。

 

 事件発生当時、安倍晋三首相は、「断じて許すことはできない」とテロに対する対決姿勢を示す一方で、菅義偉官房長官は、「人命最優先で対応したい」と言っている。

 

 これは今の国際社会では矛盾した言明だ。

 

 現代の国際社会では、「テロに屈しない」と国家のリーダーが発言することは、「テロリストに対する宣戦布告」を意味する。

 

 「戦争だから、万が一多少の犠牲が出てもテロリストとは交渉しない」という意味。

 

 だから総理大臣が「テロには屈しない」と言った時は、人質も含めて日本国民全員が、テロリストに対して「兵士」になったのだと覚悟した方がよい。

 

 いや、「日本政府はテロに対して毅然とした態度を示せ」などと言いたいわけじゃない。

 

 ただ世界の趨勢を見る限り、日本もそろそろ「テロに屈しない」のか、「人命最優先」なのか、どちらかを選択しなければいけないタイミングにあるのではないかと言いたいだけだ。

 

 国際的なテロ集団に「どっちも」の理屈はたぶん通じない。

 

 テロリストたちは日本政府の発言を「国際社会の常識」に照らして解釈するだろうから。

福田赳夫首相(当時)は「一人の生命は地球より重い」としてテロリストと交渉する道を選んだ

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