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定説が覆る!マストドンの骨から人類が13万年前に北米にいた証拠を発見

カリフォルニア州サンディエゴで1992年に見つかったゾウの祖先、マストドンの化石には、人の手で加えられた傷などの痕跡が見られた(The NAT/San Diego Natural History Museum)

 アフリカで誕生した人類の祖先は、大陸間を移動して約2万年前に北米大陸に到着したというのが歴史の教科書で習ったこれまでの定説だが、米カリフォルニア州で見つかった13万年前の哺乳類の化石に、人の手でつけられた可能性が高い痕跡が見つかったと、サンディエゴ自然史博物館などの研究チームが英科学誌『ネイチャー』に発表した。

 

 論文によると、サンディエゴ自然史博物館の古生物学者トム・デメレさんらの研究チームは、サンディエゴ近郊で1992年に道路工事中に見つかった古代生物の骨の化石に着目。

 

 5カ月間に及ぶ発掘調査では、ゾウの祖先にあたる「マストドン」の歯や牙、折れた骨の化石を発見。当時は30万年前に生息していたゾウだと見る見解が優勢だったが、デメレ氏はこの意見に懐疑的だった。

 

 というのも、マストドンの骨の化石には、死後すぐに何者かの手によってねじり折ったような跡が見られ、骨が置かれている位置も不自然だったからだ。そこで「死因には人類が関与している可能性がある」と主張。しかし、人類が北米大陸に移動した学説からすれば、到底受け入れられなかった。

 

 このとき2008年、人類はもっと早い時期に北米に到達していたと見る考古学者に出会った。それがサウスダコタ州のホットスプリング研究所で共同研究をするキャスリーンとスティーブンのホレン夫妻だ。二人は米中西部の複数の発掘現場で、4万年前に人類が生活していた痕跡を発見し、アメリカ人の祖先だと主張していた。

 

 サンディエゴで見つかったマストドンの骨の化石を目にしたキャスリーンさんは言う。「骨にはしっかりしたハンマー台に乗せられて、岩で叩き潰したような痕跡がありました。切り傷はなかったので、肉を食べるために屠殺されたとは思えません。おそらく骨を削って、道具を作るためだったのではないでしょうか?」

 

 マストドンの骨には炭素を含むタンパク質は残っていなかったので放射性炭素年代測定法は使えなかったが、現象しにくい放射性ウランとトリウムの比率を測定する最新の技術で年代を測定。その結果、骨は13万年前のものだと判明した。

 

 一方で、今回の発見に異を唱える学者ももちろんいる。テキサス州のサウス・メソジスト大学の考古学者デヴィッド・メルツァー氏は、「自然界の何らかの力が加わって、岩や骨が壊れた可能性もある」として、人類の歴史が大変換する可能性が高い今回の発見は、証拠が不十分だと指摘しているほか、何人もの学者が、かつてのデメレさんのように懐疑的な意見だ。

 

 そこでデメレさんらは今後はさまざまな分野の研究者に参加を呼びかけ、それぞれの立場や側面からマストドンの化石の検証を進め、この傷がいつ、どうやってつけられたのか真実の解明を目指すとしている。

ハンマー

骨はハンマー台に乗せられ、岩石で叩いた痕跡があった(The NAT/San Diego Natural History Museum)

サンディエゴ

上がサンディエゴ自然史博物館のトム・デメレ博士(The NAT/San Diego Natural History Museum)

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