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台風雲のなかを透視「ロール状に吹く突風の存在」世界で初めて突き止める

2016年8月に相次いで日本に上陸した台風9号と10号(NASA Earth Observatory)

 昨年8月、台風7号、9号、10号、11号が相次いで北海道と東北地方に襲来し、記録的な大雨によって、甚大な被害をもたらした。今年も本格的な台風シーズンを迎えるまえに、気象庁気象研究所などのチームは、スーパーコンピューターを使って、世界で初めて台風の雲のなかに吹く風の構造を明らかにした。

 

 一般に台風は、中心から数百キロの広範囲にわたって強風が吹いているが、台風が通過した後に調べると、被害が一様にもたらされているわけではなく、被害域が点在している場合がある。

 

 東京大学大気海洋研究所の新野宏教授は、気象研究所と海洋研究開発機構とともに、スーパーコンピューター「京」を駆使して、従来はできなかった直径1000キロの巨大台風全体を、100メートル四方に細分化して計算するシミュレーションモデルを開発。

 

 この計算モデルを使って海上にある台風の雲を三次元で再現した結果、気流がロール状に上昇と下降を繰り返す強風域が、台風の中心から外側に向けて3種類あることがわかった。

 

 中心から最も離れた外側で見られるタイプAのロールは、従来から存在が指摘されていたが、中心に近いタイプBと、台風の目を取り巻くCの2種類は、今回初めて明らかになった。地表付近で台風の中心に吹き込む風は、上昇気流になって速度が早まり、中心に近づくにつれて、高度10メートル付近での風速が55メートルを超える激しい突風が引き起こされるという。

 

 研究チームは、台風の雲のなかでどんな風が吹いているのかメカニズムを明らかにすることで、地表付近で吹く突風に対する防災対策につなげたいとしている。

 

 なおこの研究成果は、科学誌『サイエンティフィック・リポーツ』電子版に19日付で掲載された。

台風

スーパーコンピューターで再現した台風の雲のメカニズム。中心から外側に向けて、上昇と下降を繰り返すロール状の気流が3種類存在すると判明した(提供:気象庁気象研究所)

台風

高度27m付近のそれぞれの地点で吹いている風の流れを垂直方向で示した図。赤は上昇、青は下降気流。(提供:気象庁気象研究所)

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