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防災歳時記7月30日ヴェブレンと投資減税

ソースタイン・ヴェブレン(1857- 1929)

 今から156年前、1857年の今日7月30日、米ウィスコンシン州のノルウェー移民の夫婦に一人の男の子が生まれる。

 

 その子の名前はソースタイン・ヴェブレン。

 

 ヴェブレンは長じてかなり独特な経済学者になる。

 

 彼の発見の最も著名なものは、現在もマーケティングの世界で使われている「ヴェブレン効果」。

 

 古典派経済学の世界での「消費」は、需要と供給のバランスにおいて合理的?に決まる(少なくともマクロな世界では)と考えられていた。

 

 つまり人は単純に、それが相場より高ければ買わないし、相場より安ければ買うということ。

 

 しかしヴェブレンが生まれ育った時代のアメリカはゴールドラッシュに沸いていた。

 

 そこで大金持ちたちが繰り広げる消費、つまり、大邸宅や高い服、装飾品などに無駄遣いする行動は、「見せびらかしのための消費」だとヴェブレンは見抜いた。

 

 つまり「消費」という行動は物理的必要性にのみ従ったシンプルなものではなく、いわば「社会的消費」とでも言うべき行動スタイルもあるのだと。

 

 簡単に言えば、「安いフェラーリ」や「安いエルメス」なんてあり得ない。もしブランド品が安ければ、その時点でそれは「ブランド品」としての価値を失う。

 

 そしてこういう消費は、価格が高ければ高いほど需要が増えるから、従来の需要供給曲線ではうまく説明できない。

 このヴェブレンの研究がきっかけとなって、人々のさまざまな経済活動は、単なる「そろばん勘定」だけで左右されるのではなく、極めてバラエティに富んだ活動なのだとの認識が広まり、「バンドワゴン効果」や「スノッブ効果」など、人々の消費の特徴を捉えた研究が進んだ。

 

 そんなヴェブレンには、もう一つ著名な業績がある。

 

 彼は「営利企業の理論」(1904年著)の中で、産業をインダストリー(モノ作りを目的にした企業)とビジネス(営利目的の企業)に分類し、インダストリーは産業を進化させるが、ビジネスは産業を浸食すると指摘した。

 

 確かに日本でも高度経済成長期までは、ホンダ、トヨタ、松下、ソニーと「モノ作り」を代表するインダストリーが元気だった。

 

 それが、バブル期からか、お金や土地や証券を流通させて稼ぐビジネス(金融業を悪く言うつもりは毛頭ないが)が経済の前面に台頭し、今やIT産業という、情報を加工し、流通させるビジネスが全盛となる一方で、製造業はいささか元気がない。

 

 安倍政権は、年末の税制改正を待たず、設備投資減税を9月の臨時国会にも提出する方針だが、ヴェブレン流に言えば、減税したところで、それによって画期的な「モノ作り」を目指すインダストリーが活性化しない限り、日本の経済成長はさして望めないということになるのか。

かつては日本もインダストリー(モノ作りを目的にした企業)が元気で、ヒット商品がたくさん生まれていた(撮影: Yasuhiko Ito)

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