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花咲かないのに実を結ぶラン 長年別の花と勘違い!神戸大

和歌山県上富田町岩田で採取されたクロムヨウラン。花は決して開かない(神戸大)

 神戸大学や熊本大学などの研究グループは、和歌山県など限られた地域に分布するラン科の植物が、花が一度も開くことなく、つぼみの状態で実になる事実を発見した。従来、図鑑には「クロムヨウラン」と紹介されていたラン科の植物は、別の植物と取り違えられていという。

 

 神戸大大学院の末次健司特命講師と、民間の植物研究者である福永裕一氏らのグループは、和歌山県南端部に位置する上富田(かみとんだ)町に分布する、スプーンのような形の花びらを持つ「クロムヨウラン」は、花は一度も開かず、硬いつぼみのまま落下するのに、きちんと果実をつけることに気づいた。

 

 クロムヨウランは、1931年に和歌山県で見つかった標本を元に、植物学者の故・本田正次東京大学名誉教授が発表したムヨウラン属の植物。ムヨウランは、漢字で「無葉蘭」と記すように、葉や葉緑素が無く、光合成をする能力がないのでキノコやカビの菌類に寄生して養分を取り込む植物で、花と果実の時期しか地上に姿を現さない。

 

 (2017年7月27日~8月27日までタイムラプス撮影したクロムヨウラン。つぼみは一度も開花しないにもかかわらず結実している/神戸大)

 

 本州から鹿児島まで広く分布し、多くの植物図鑑に掲載されている「クロムヨウラン」では開花が一般的に見られることから、末次特命講師らは、採取した花を解剖して構造を詳しく調べたところ、「咲くクロムヨウラン」よりも花が小さく、唇弁と呼ばれる花びらの先端の毛が分岐するなどといった違いがあることが判明した。

 

 一方、グループの一員である熊本大学の澤進一郎教授の父親で、高知大学でラン科の植物を研究していた故・澤完助教授は1981年、高知市で採取した「咲くクロムヨウラン」を「トサノクロムヨウラン」として発表している。しかし、論文には図版など詳しく特徴を記載していなかったことから、調査グループは「トサノクロムヨウラン」が、いつの間にか「クロムヨウラン」と混同されてしまい、数十年にわたって勘違いがまかり通ってきたものと結論づけた。

 

 研究グループは、光合成をしないクロムヨウランが、チョウやハチなどの昆虫がほとんどやってこない暗い林の中で、自力で受粉し、結実するよう進化したメカニズムについて解明していきたいと考えている。

 

 なおこの研究成果は、国際誌『Phytokeys』電子版に11日付で掲載された。

とさ

高知県高知市春野のトサノクロムヨウランは開花する(神戸大)

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