防災と災害情報のニュースメディア
  • 歴史

防災歳時記8月10日どの市区町村にも属さない東京

東京から南へ582キロ 鳥島は伊豆諸島に属する「絶海の孤島」(撮影: Karakara)

 東京都に、どの市区町村にも属さない、つまり具体的な住所がない(=本籍地にはできない)土地がある。

 

 それは東京から南へ582キロ下った太平洋上の孤島、伊豆諸島の一つ「鳥島」。

 

 鳥島は、今も活動度ランクAに指定されている活火山。そして今から111年前の1902年(明治35年)の今日8月10日に大噴火を起こし、当時の島民125人が全員死亡した。

 

 それ以来、鳥島は今も住民のいない「無人島」。

 

 というよりこの島は、その名称「鳥島」が示すとおり、誰のものでもない「アホウドリ」の楽園だった。

 

 天敵のいない絶海の孤島は、かつてはアホウドリが一斉に飛び立つと島全体が浮き上がって見えると言われるほどの一大コロニーだった。

 

 しかし人間による乱獲が続き、捕獲が禁止される1933年までに推定約1000万羽が捕獲され、禁止された時にはもう50羽しか残っていなかった。

 

 噴火により亡くなった125人の島民も「アホウドリ捕獲」のために移住した人々だった。

 しかし人間による乱獲が始まる前にも、たまにこの絶海の孤島を尋ねる「人間の客人」があった。

 

 一人は江戸時代の土佐の漁師 野村長平。

 

 彼は1785年(天明5年)に土佐沖で遭難し、黒潮に乗って鳥島へたどり着く。それから13年間、アホウドリを食べて食いつなぎ、最後は青ヶ島を経て無事帰還する。

 

 土佐に帰ってからは「野村」という姓も拝領したが、人々は「無人島長平」と呼んだそうな。

 

 そしてもう一人は、あの有名なジョン万次郎。鳥島に漂着した万次郎ら5人は、わずか3ヶ月で米国の捕鯨船に発見され救助されている。

 

 鳥島は、絶海の孤島にも関わらず、この2例以外にも漂着した人間を何回も救ってきた不思議な歴史を持っている。

 

 しかし人間は、命の恩人であるこの島の主 アホウドリを身勝手に絶滅寸前にまで追いやった。

 

 いまだ住所すらないこの島の周囲には多くの暗礁があり、接岸できるのはゴムボートのみ。

 

 まるで忘恩の人間を峻拒するようなおもむきで、小笠原諸島への航路上にたたずんでいる。

アホウドリ(出典: U.S. Fish and Wildlife Service)

 あなたにオススメの記事

メニュー