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南鳥島周辺の海底に「レアアース数百年分」1600万トン超!

南鳥島沖の海底に広がるレアアースを含む堆積物(JAMSTECが2015年に撮影)

 日本の最東端にある小笠原諸島・南鳥島周辺の排他的経済水域(EEZ)では、全世界のニーズの数百年分に相当するばく大な量のレアアースが海底に眠っていることを、早稲田大学や東京大学などの研究チームが明らかにした。レアアースの含有量が多い鉱物を効率良く回収する技術の確立にも成功した。

 

「産業のビタミン」と呼ばれるレアアースは、再生可能エネルギー技術やハイブリッド車や電気自動車など、最新のエレクトロニクス技術やレーザーなどの医療技術分野に欠かせない金属だが、現在は埋蔵量の多い中国が世界の生産量の9割を占めている。

 

 日本では、海洋研究開発機構(JAMSTEC)が2013〜2015年にかけて海底調査を実施し、南鳥島の南方沖の深海に、レアアースを大量に含む堆積物「レアアース泥」が広がっていることを発見。

 

 開発を進めるうえで、資源量と分布の正確な把握が求められているなか、早稲田大学理工学術院の高谷雄太郎講師と、東京大学の加藤泰浩教授らのチームは、民間会社などと共同で南鳥島から約250キロ南にある、広さ約2500平方キロメートルの海底から採取した25本のサンプルの成分分析を実施。

 

 その結果、ハイブリッド自動車のモーター用磁石などに使う「ジスプロシウム(Dy)」は現在の世界消費量の730年分、LEDやレーザー、超伝導体などに使う「イットリウム(Y)」は780年分、「ユウロピウム(Eu)」620年分、「テルビウム(Tb)」420年分と、全部で1600万トン以上の資源が存在する可能性が明らかになった。

 

 さらに研究チームは、レアアースの大半に含まれている「リン酸カルシウム」という魚などの歯や骨からできている物質に着目し、分離することで、レアアース泥に含まれるレアアース濃度を最大2.6倍に高める技術を確立。この技術によって、採掘や精錬にかかるコストを大幅に抑えられるとして期待が寄せられている。

 

 研究チームは「従来は学術研究の範疇にとどまっていた海底資源が、現実的に開発可能な資源として視野に入ってきた」として、レアアースを活用した最先端産業の発展や創出への波及効果を期待している。

 

 なおこの研究成果は、英科学誌『サイエンティフィック・リポーツ』に10日付けで掲載された。 

サンプル

海底サンプルが採取されたエリア。左図の白い点線部分が日本の排他的経済水域(EEZ)。右図の白枠で囲まれた部分が有望海域で、24区画に分けて調査している(早稲田大学)

レアアース

右:レアアースの含有量は海底面からの深さによって変わる。左:研究チームは、レアアースだけを効率よく回収する技術も確立した(早稲田大学)

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