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防災歳時記8月20日「蚊の日」と世界最大の伝染病

ハマダラカの胃からマラリア原虫を発見した英国の医学者ロナルド・ロス(1857年 - 1932年)

 今から115年前、1898年の今日8月20日、英国の医学者ロナルド・ロスは、ハマダラカの胃からマラリアの病原体「マラリア原虫」を発見した。

 

 このことを記念して、8月20日は「蚊の日」であることを、たぶんわが国のほとんどの人がご存知ないだろう。

 

 日本でははるか昔に撲滅された「マラリア」と言われても、どこか「遠い国の他人事」との観が否めない。

 

 この1〜2世紀の間に、かつて猛威を奮った伝染病の脅威に人類は一つひとつ打ち勝っていった。

 

 「ペスト」しかり、「チフス」しかり、「コレラ」しかり…。

 

 だが、そんな科学の進歩にも関わらず、今でも猛威を奮っている「昔ながらの伝染病」の最右翼が「マラリア」だ。

 

 世界では現在も年間3億〜5億人がマラリアを発症し、毎年100万〜270万人の人が亡くなっている。

 

 日本でも太平洋戦争中には、「戦争マラリア」と呼ばれる大量発生が起き、沖縄の八重山諸島に疎開した多く人々がマラリアによって命を失うという事件もあった。

 

 以前からマラリアの蔓延地域であった八重山諸島は、マラリアによる村落の全滅と強制移住の歴史を繰り返しており、今でも西表島の密林にちょっと入れば、誰でもマラリアによって全滅した集落の跡を見ることができる。

 さて、最近もアフリカのケニアに渡航した日本人旅行者2人が帰国後マラリアを発症した。

 

 マラリアは簡単に死にも至るとても怖い病気だ。

 

 発症すると脳神経症状が現れ、くるくる体を回転させたり、会話がかみ合わなくなるなどの特有の症状を示す。

 

 にも関わらず、この2人の旅行者は「抗マラリア薬」の服用など、予防措置を講じていなかった。

 

 国立感染症研究所によると、この旅行者グループの中には、「予防内服をすると、マラリアに感染した時に診断が遅れる」という誤った理解をしている人もいたとのこと。

 

 世界には、まだ恐ろしい伝染病の流行している地域がたくさんある。

 

 にも関わらず、危険な地域に渡航する際に接種することが世界の常識となっている「トラベラーズ・ワクチン」についても、日本では常識になっていない、と世界から指摘されている。

 

 外務省も厚生労働省も、伝染病危険地域への旅行について、予防措置などを繰り返し注意喚起しているが、一向に啓蒙が進んでいないというのが、日本の残念な現状だ。

マラリア原虫(出典: NAID)

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