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防災歳時記10月21日ネルソン提督と国民の義務と消費税

トラファルガー海戦(ジョセフ・ターナー作 1806年)

 今から208年前、1805年の今日10月21日に、ヨーロッパで最大の海戦の火ぶたが切られた。

 

 トラファルガー海戦。

 

 ナポレオン率いるフランス軍は、ヨーロッパ大陸を制圧し、残る英国征服を開始した。

 

 ヴィルヌーブ提督率いるフランス・スペイン連合艦隊は33隻、ホレーショ・ネルソン提督率いる英国艦隊は27隻、兵力で劣る英国艦隊のネルソン提督は、後世に残る作戦「ネルソン・タッチ」を敢行する。

 

 当時の海戦は双方の艦隊が並行に縦1列に並び、大砲を撃ち合い、相手の反撃が弱まったら敵艦に接舷して乗り込み白兵戦を行なった。

 

 まだ大砲の威力もさほど無く、精度も悪かったため、砲撃だけで敵艦を仕留める、ということが難しかったからだ。

 

 しかし、この定石を破って、ネルソン提督は英国艦隊を敵艦隊と直角に縦2列に並べ、1列縦隊で並ぶフランス・スペイン艦隊の横っ腹に突撃させた。

 敵の砲撃技術が劣っており、自軍の士気が極めて高ければ「有効な作戦」かもしれないが、先頭の艦船は敵の砲撃を四方八方から浴びることは、まず間違いない。

 

 常勝将軍ナポレオンに率いられたフランス軍は、最初から勝つ気で、その後のことまで考えて英国艦隊のマストを狙う。

 

 勝ったら自軍の艦船になるから、できるだけ傷つけたくない。ある種の『横綱相撲』。

 

 波に揺れる船からの砲撃、猛接近してくる英国艦隊になかなか大砲の弾が当たらない…。

 

 そんなことも幸いしてか、フランス軍は「ネルソン・タッチ」を予期していたにも関わらず、英国艦隊が勝利し、ナポレオンは英国征服を諦める。

 

 ネルソン提督自身は、この海戦で戦死するが、いわば「特攻」とも言える「ネルソン・タッチ」を敢行する直前に、名文句として後世に伝えられる信号文を全艦隊に信号旗で伝えた。

 

 

England expects that every man will do his duty.(英国は各自がその義務を果たすことを期待する)

 

 

 同じようなセリフを米国の故ケネディ大統領も1961年の大統領就任演説で訴えている。

 

 

国があなたのために何をするかを問わないでほしい。あなたが国のために何ができるかを問うてほしい

 

 

 消費税率引き上げを決断した安倍晋三首相は、秋の臨時国会冒頭の所信表明演説の最後で、この言葉を引用した。

 

 

私は、失ったものを数えるのではなく、得たものを数えていきます

 

 

 このパラリンピック水泳の金メダリスト成田真由美さんの言葉を引用して、安倍首相は「強い意志の力」で諸問題を乗り越えよう、と国民に強調した。

 

 日本、特にバブルの恩恵を受けた世代は、たとえ自身に痛みがともなうとしても、子どもや孫の世代のこの国のために、日本が抱える多くの「負の遺産」に立ち向かうべき時が来たということか。

「英国は各自がその義務を果たすことを期待する」ホレーショ・ネルソン提督は戦闘に先立ち全艦隊にそう伝えた(レミュエル・アボット作 1799年)

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