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防災歳時記10月31日 聖人と世界最長のえん罪裁判

ガリレオ・ガリレイ(1564年 - 1642年)

 今から21年前、1992年の今日10月31日、350年間わたって続いた「えん罪事件」が、その幕を降ろした。

 

 ローマ教皇ヨハネ・パウロ2世は、地動説を唱えたガリレオに対する異端審問裁判が誤りであったことを認め、謝罪した。

 

 「それでも地球は回る」とつぶやいたとされるガリレオは、「教会に真っ向から反論する気骨の科学者」のイメージもあるかもしれないが、事実はそうでもないらしい。

 

 ガリレオは敬虔なキリスト教信者で、日ごろから「宗教的真理と科学的真理は矛盾しない。この自然とは神の作ったものなのだから」と語っていたと言われる。

 

 終身刑が言い渡された1630年の裁判の対象となった地動説の解説書「天文対話」なども、わざわざ地動説論者と天動説論者と中立の人という3人の人物を登場させ、現代風に言えば「両論併記」させる内容になっている。

 

 しかも事前にローマ教皇庁に出版許可を取り、最大限の配慮をしたにも関わらず、なぜか「裁判」ということになってしまった。

 

 それから350年を経て、ヨハネ・パウロ2世は、科学と宗教は調和しうる、と生前のガリレオが口にしていたような言葉を改めて説き、「天文学の父」のえん罪を晴らした。

 その26年以上にわたる在位期間中、世界各国を飛び回り「空飛ぶ教皇」と呼ばれたヨハネ・パウロ2世は、ガリレオ裁判のえん罪だけでなく、さまざまなローマ教会の歴史上の過ちについて反省を口にした。

 

 キリスト教の歴史におけるユダヤ人への対応。

 

 十字軍のイスラム教徒への行為。

 

 

 ヨハネ・パウロ2世はこれまでに「フランス人修道女のパーキンソン病の治癒」という奇跡を認定され「福者」に列せられていたが、今年7月に、「コスタリカ人女性の深刻な脳損傷の治癒」という2つ目の奇跡が認定され、今年12月にも「聖人」に列せられる見込みと伝えられている。

 

 そうした「奇跡」はもちろん素晴らしいことだが、ローマ教会という2000年にわたる偉大な権威の頂点にあって、それでも「いかに偉大な権威であっても誤りは起こりうる」とのメッセージを発したことこそが、同教皇をして聖人に列せられるに値するゆえんだと感じられる。

 

 生前、ヨハネ・パウロ2世はこう言った。

 

 

愚かさもまた、神からの恵みである。しかし決してそれを誤用してはならない

ヨハネ・パウロ2世(1920年 - 2005年)

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