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防災歳時記11月14日 ゴッドファーザーのたった一度の失敗

初代FBI長官ジョン・エドガー・フーバー(出典: 下院図書館)

 浮き世は本当に恐ろしい。

 

 後になってみれば当たり前のことを、誰も信じなかったりする。

 

 今では当たり前に政府が解決を求めている「北朝鮮による日本人拉致問題」だってそうだった。

 

 一部では1970年代から噂されていたが、かつては「北朝鮮工作員による拉致」なんて主張したりすると、「フリーメーソンの陰謀説」とか「UFOによる誘拐説」を唱えるのと同じ程度には「妄想癖の人か、オカルト好きな人」との色眼鏡で見られる時代もあった。

 

 しかしこうした話は何も日本だけの専売特許じゃない。

 

 海の向こう米国でのケースはもっとすごい。

 

 1950年代後半まで、アメリカに「マフィア」は存在していなかった、というのだから。

 

 悪名高い初代FBI長官ジョン・エドガー・フーバーが、「マフィアのことはFBIの管轄外」として、その存在すら認めなかったのだ。

 

 死後、フーバーはマフィアからの収賄の事実が発覚しているが、そんなフーバー長官をしても、「マフィアの存在」を認めざるを得ない事件が、今から56年前、1957年の今日11月14日に起きる。

 米国ニューヨーク州の郊外、自然豊かなアパラチンには、ヴィト・ジェノベーゼの豪邸があった。

 

 ヴィト・ジェノベーゼは、あの名作「ゴッドファーザー」でマーロンブランド(若い頃の役はロバート・デ・ニーロ)が演じた「ドン・コルレオーネ」のモデルとなった男。

 

 ジェノベーゼ・ファミリーを率いるヴィトは、暗殺と陰謀を繰り返してのし上がり、遂にニューヨーク最大のファミリーのボスとして君臨する。

 

 そしてその権勢を誇示し、全ファミリーの頂点に自分が立ったことを宣言するために、この日、全米のボスを自分の邸宅に集めたのだ。

 

 しかし静かな田舎町に、多数の高級車が並び、高級スーツを身にまとった、「堅気」とは思えない男たちが100人から集まるわけで、怪しくないわけがない。

 

 案の定、警察に踏み込まれ、ボスたちは一目散に近くの森の中に逃げ込む。

 

 だが、そもそも派手なスーツのイタリア男たちだから、森の中ではかなり目立つ。

 

やっぱり会議はギャングらしく都会でやるべきだった…

 

 …と、後悔したかどうかは知らないが、あっという間に、全米を牛耳る65人ものボスが逮捕された。

 

 この一件でヴィトの威厳は地に墜ち、フーバー長官も、やむなく「組織犯罪撲滅」に乗り出さざるを得なくなった。

 

 これをきっかけにマフィアはその勢力を次第に縮退させていく。

 

 ゴッドファーザーのたった一度のミス。

 

 「笑い話」のようだが、これは「実話」。

映画「ゴッドファーザー」のモデルとなったヴィト・ジェノベーゼ(出典: Library of Congress. New York World-Telegram & Sun Collection)

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