防災と災害情報のニュースメディア
  • 歴史

防災歳時記12月11日 近代細菌学の開祖と結核

近代細菌学の開祖ロベルト・コッホ(1843年 - 1910年)

 今から170年前、1843年の今日12月11日、ドイツの鉱山技師として生まれた男の子は、長じて町医者となった。

 

 名前はロベルト・コッホ

 

 町医者のコッホは、羊や牛、そしてそれを扱う農民や商人までもが感染する、腫れ物ができ、死に至ることもある病気「炭疽病」の病原菌が「炭疽菌」であることを発見した。

 

 今では当たり前のことだが、「感染症」とその「病原体」が一対一で特定された歴史的瞬間だった。

 

 そして6年後には結核の病原体「結核菌」を発見する。

 

 今ではあまり見なくなってしまったが、昔は小学校などで注射された「ツベルクリン」。

 

 昭和の時代には、ツベルクリン反応が陰性(注射した痕が赤くならない)だとBCG接種ということになったわけだが、この注射の正体は結核菌の抗原

 

 これも元はコッホが100年以上も前に、結核菌ワクチンとして作ったもので、ワクチンとしての効力がなかったため、後に診断用としてのみ使われることになった。

 コッホが結核菌を発見してから130年以上が経ち、途中ストレプトマイシンなどの抗生物質も発見されたが、今でも国内には毎年2万人以上の結核患者が発生しており、一向に減る気配はない。

 

 さらに最近は、世界中で8万人以上の人が、「多剤耐性結核(MDR-TB)」と呼ばれる症状に陥り、約半数が命を落としている。

 

 実は、結核という病気は「抗結核薬」を投与すると、てきめんに自覚症状が改善される。

 

 このため、「もう大丈夫」と、勝手にクスリの服用をやめる人が後を絶たない。

 

 そうすると、体内に抗結核薬への耐性を持った結核菌だけが繁殖し、クスリが効かない状況に陥る。

 

 特に抗結核薬の中でも重要な「イソニアジド」と「リファンピシン」に耐性を持つ場合を「多剤耐性結核(MDR-TB)」と呼び、この治療のためには、20ヶ月以上も効果より副作用の方が大きい「薬漬け」になる必要がある。

 

 この恐ろしい病気に対し、実に半世紀ぶりに「ペダキリン」と「デラマニド」という2つ特効薬が今年相次いで登場した。

 

 しかもデラマニドを開発したのは、なんと「大塚製薬」。「国産の特効新薬」だ。

 

 そして先月22日、欧州医薬品庁(EMA)の医薬品委員会は、デラマニドを条件付きで販売承認するよう勧告した。

 

 このままいけば、来年1月にもデラマニドはヨーロッパでの販売について最終的な結論が下される。

 

 コッホが結核菌を発見してから131年。人類と結核の壮大な戦いはまだ終わっていない。

結核菌の電子顕微鏡写真(撮影: NIAID_Flickr)

 あなたにオススメの記事

メニュー