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防災歳時記12月27日 ダーウィンと進化論と結婚

ビーグル号航海から帰国したころのチャールズ・ダーウィン(ジョージ・リッチモンド作)

 今から182年前、1831年の今日12月27日、英国のプリマスから、一隻の測量船が出航した。

 

 それは19世紀で最高の「知の冒険」となる世界一周航海への旅立ちだった。

 

 その船の名前は「ビーグル号」。

 

 そこには22歳の若きチャールズ・ダーウィンが乗り組んでいた。

 

 この約5年にわたる冒険の中で、ダーウィンは「生物の種が不変のもの」ではなく、少しずつ変化していることに気付く。

 

 自然選択(自然淘汰)と性選択(性淘汰)により、種は変化していくという「進化論」の芽生えだった。

 

 「生物は創造主の造りたもうたもの」という当時の考え方からすると、まさに「コペルニクス的」発想の転換。

 

 ダーウィンのアイディアは19世紀から現在までの科学に多大な恩恵をもたらし、「進化論」は21世紀の今もまだ「進化」し続けている。

 つい先日も、インフルエンザワクチンが、男性より女性に効果的との研究成果が、米科学アカデミー紀要に掲載された。

 

 これまでも細菌やウイルスによる感染症は女性より男性の方がかかりやすいことは分かっていたが、どうも男性ホルモン「テストステロン」が多いと免疫反応が抑制されるらしい。

 

 先史時代の男性は狩猟や戦闘により負傷し、感染症にかかるリスクも女性より高いはず。

 

 それななのになぜ危険を顧みない(つまりは「男性的役割」をまっとうしようとする)傾向を促進するホルモンが、一方で免疫系を弱体化させるのか?

 

 感染症に強い免疫系は進化論的に優位だが、一方で過剰な反応を起こした時には、自分自身を危険にさらす可能性がある。(重度のぜんそくなどのアレルギーにより本人の生命が危険にさらされるケースを想像してほしい)

 

 つまり、過剰反応の可能性を考えると、「弱めの免疫力」の方が、結果として生き延びる確率が高いのかもしれない、というのが研究チームの仮説だ。

 

 進化論は正しいが、その自然淘汰圧は、人間の知恵では計り知れないベクトルを持っており、人間からすると「それって本当に進化なの?」と思うような場合もありうるということ。

 ところで、生物の生殖(つまり人間の場合は「結婚」)は、進化論にとって重要なファクターだが、「進化論の父」ダーウィンは、自身の結婚についても、「生物の種」を観察する時のように、極めて緻密に比較考察していた。

 

 彼は「動物の繁殖」について記述しているノートに、「結婚のメリット・デメリット」をリストアップしている。(正確には『結婚する』、『結婚しない』の双方についてメリット・デメリットを列挙しているが)

 

【結婚するデメリット】

不安と責任。多くの子どもがいて、本を買う金も減る。

【結婚するメリット】

永遠の伴侶、年をとってからの友人…、いずれにせよ犬よりははまし。

 

 結局ダーウィンは「犬よりはまし」と判断したか、いとこのエマと結婚する。

 

 だが、その結婚生活は、7人の子どもをもうけ、敬虔なキリスト教徒のエマと進化論との間の宗教的折り合いもうまくつけて、「犬よりはまし」などという表現からはほど遠い、幸せなものだったそうだ。

 

 ダーウィンの死の床での最期の言葉は、「お前がずっと良い妻だったと覚えていなさい」。

 

 創造主たる神を進化論で冒涜したと教会から批判されたダーウィン。

 

 英国教会が「ダーウィンを誤解し、教会の最初の対応が誤りだった」と謝罪したのは、その生誕から200年も経た2009年のことだった。

ダーウィンの妻エマ・ダーウィン(ジョージ・リッチモンド作)

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