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防災歳時記1月14日 仏様と乳酸菌とネズミとヘビ

第一次大谷探検隊が発見した、お釈迦様が無量寿経や法華経を説いたとされる伝説の山「霊鷲山」ことチャタ山(撮影: myself)

 今から111年前、1903年(明治36年)の今日1月14日、日本人による探検隊はインド北部ラージギル東方で、朝日に照らされた小高い山を見詰めていた。

 

 その山こそが霊鷲山(りょうじゅせん)、すなわちお釈迦様が無量寿経や法華経を説いたとされる伝説の山だった。

 

 この仏教史上「世紀の発見」をした探検隊を率いていたのは、その後すぐに浄土真宗本願寺派22世法主となる大谷光瑞だった。

 

 当時の本願寺の予算は京都市の予算と同じ、と言われるほどの強烈な財力を持つ大谷家に生まれた光瑞は、その財力を使い、仏教にまつわる西域研究のため、3回にわたるシルクロード探検隊を派遣していた。

 

 そして発見したのが、この霊鷲山。

 

 トルファン・桜蘭なども探検し、ミイラ始め貴重なシルクロード文明の遺産を多数発掘した。

 しかし光瑞師の活躍はこれにとどまらない。というか、明治人のバイタリティと好奇心には驚かされる。

 

 仏教の教典の一つ「大涅槃経」にはこう書かれている。

 

「牛より乳を出し、乳より酪(らく)を出し、酪より生酥(せいそ)を出し、生酥より熟酥(じゅくそ)を出し、熟酥より醍醐(だいご)を出す」

 


 よく「醍醐味」という時に使われる、お釈迦様が万病を治すと教えた究極の美味「醍醐」の生成方法である。

 

 西域で発掘した大涅槃経の翻訳作業の過程で醍醐の生成方法に触れた光瑞師は、中国大連に大谷農芸化学研究所を設立し、乳酸菌生産物質の研究を進める。

 

 乳酸菌だけでなく、光瑞師は無類のグルメ、それもグローバルに珍味を味わう、かなりバイタリティあふれるグルメだった。

浄土真宗本願寺派第22世法主 大谷光瑞師(1876年 - 1948年 出典:華族画報社「華族画報」より)

「ネズミは極めて美味。その繁殖力を天然に抑制しているのは、ひとえにこの美味のおかげ」

 

「ヘビは美味。…ヘビはその肉を極めて細かくして鶏肉に混ぜてスープにする。皮が入っていないと本物かと疑われるので料理人はあえてヘビの皮を混ぜる」

 

 

 いやはやなんとも凄まじい食欲。

 

 さらに光瑞師は、最近の女学校は見た目の形ばかりしか教えないから女学生が主婦になっても料理が下手だと時世批判も展開している。

 

 しかしその矛先は女性ではなく、なんと「旦那」に向いているのだ。

 

 

「私はあえてこのこと(料理下手なこと)を主婦に責めない。むしろ男子の罪だと信じる。夫が『美味しいもの』を教えてあげればよいのだ」

 

 

 つまり、奥さんが料理下手なのは、旦那が美味しいものを食べに連れて行ってあげないからだ、ということなのだろう。

 

 明治の時代をダイナミックに生き抜いた宗教家は、なんとも開明的な思考の持ち主だった。

 

 ちなみに晩年の光瑞師は、スパゲティが好物だったとか…。

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