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防災歳時記1月24日 原子炉が空から降る恐怖

ソ連の海洋偵察衛星「コスモス954」(出典: NNSA US DOE)

 福島第一原発事故で、われわれは改めて「原子炉の恐怖」を再確認した。

 

 東京や大阪など福島から遠く離れた場所ですら、恐怖を味わった原発事故。

 

 だが、そんなもの(原子炉)が、もし空から降ってくるとしたらどうだろう?

 

 そんなことあるわけないって?いや実際にあったのだ。

 

 今から36年前、1978年の今日1月24日、ソ連の打ち上げた海洋偵察衛星「コスモス954」が、大気圏に再突入、カナダ領空上に侵入し、燃えきらずに同国北西部にバラバラになって墜落した。

 

 この「コスモス954」は発電用の原子炉(原発に使うのとは異なる『原子力電池』と呼ばれるものだが)を搭載していた。

 

 ソ連の衛星は、運用終了後、この原子力電池が地上に落ちないよう、原子炉部分だけをさらに高い軌道に打ち上げるという仕組みを採用していたが、コスモス954はこの分離・打ち上げに失敗し、原子炉部分が衛星本体と一緒に地上に落下していった。

 この原子炉には、50キログラムウラン235が詰められており、北西準州からアルバータ州・サスカチュワン州にわたる600キロの範囲が汚染された。

 

 カナダ政府に対するソ連政府からの事前通告はまったくなかった。

 

 事前通告を受けた米国政府から発生数封後に共同対処しようと電話があって初めて事態を知った。

 

 仰天したカナダ外務省が、駐カナダソ連大使に問い合せると、詫びもせず、「大きな危険はない。ささいな地域汚染があるだけ。何なら専門家グループを派遣する緊急援助の用意がある」と、さらにビックリするような態度。

 

 結局、米カナダ合同チームが、それから10ヶ月間かけて12万4000平方キロメートル(日本列島の約3分の1の面積)の除染活動を行なったが、回収できた核燃料は50キログラムのうち、たった5グラム

 

 12個の大きな破片を回収したが、空間線量は1時間あたり最大で1.1シーベルト(急性放射線障害が発生するぐらいの放射線量)もあった。

 

 カナダ政府はソ連に対して、604万ドルの損害賠償を請求したが、4年後ソ連は半分の300万ドルについて支払いに同意した。

 

 原子炉を人工衛星に搭載するのは、ひとえに「電池が長持ちする」から。

 

 現在では、地球周回軌道の人工衛星に原子炉を積むことはなくなった。みんな太陽電池だ。

 

 しかし、遠い宇宙へ向かう小型探査機、例えば、人工物として初めて太陽系の外に到達した米国の「ボイジャー1号」などは原子炉(原子力電池)を積んでいる。

 

 そしてコスモス954は、NATOの海洋艦船を監視するレーダーが多くの電力を消耗するという、全くもって純粋に軍事的目的のみから原子炉を搭載していた。

 

 新興国の宇宙競争参入が激化する昨今、これからだって、「空から原子炉が降ってくる」という事態が皆無とは言い切れない。

 

 

■放射線量の最新情報については放射線マップでごらんいただけます。

カナダ北西準州にあるグレートスレーブ湖も放射能汚染を被った(撮影: cambridgebayweather)

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