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防災歳時記1月29日 アロハ・オエと侵略戦争

ハワイ王国最後の女王リリオカラニ(1838年- 1917年)

 今から123年前、1891年の今日1月29日、ハワイ王国最後の王となったリリオカラニが女王の座に就いた。

 

 リリオカラニは史跡や雄大な自然を愛する、おてんばな娘として育ち、そして多くの人が知っているであろう、あの名曲「アロハ・オエ」の作詞・作曲者でもある。

 

 なぜ「最後の王」になったのか?それはハワイ王国が米国に併合されたから。

 

 その歴史の始まりは、リリオカラニの時代よりさらに100年近く前、18世紀末のカメハメハ大王(カメハメハ1世)にさかのぼる。

 

 名前は知っているが、カメハメハ大王は、いったい何をした人なのか?

 

 彼が成し遂げた偉業とは、ハワイ島だけでなくオアフ島やマウイ島など、ハワイ諸島を初めて統一して、「ハワイ王国」を建国したこと。

 

 そして英明だったカメハメハ大王は、西洋諸国と友好関係を維持し、自らの統一事業のために西洋列強から火器と火薬の調達にいそしんだ。

 

 このためハワイ王国は、早い時期から欧米文明の影響を受け、19世紀半ばには近代的な「立憲君主制国家」になっていた。

 

 一方米国は、フィリピン・グアムなどを植民地化し、太平洋地域に帝国主義的拡張政策を推し進めていた。

 

 そしてこの頃からハワイ国内では、サトウキビの大規模プランテーションを経営する白人たちの発言力が増していく。

 ハワイ王国の王政復古を求める王政派と、米国との合併を目指す共和制派

 

 国内には対立が深まっていた。

 

 そして、ついに1887年、リリオカラニがヴィクトリア英女王在位50周年祝典に渡英している最中に、共和制派のクーデターが勃発、当時のハワイ王カラカウアは国王の権限を大幅に制限する新憲法に無理やり署名させられた。

 

 そして4年後、カラカウアが死去して、リリオカラニが王位につくと、両派の対立はさらに深刻化し、米国のスティーブンス公使の要請により米海兵隊はリリオカラニの住むイオラニ宮殿を包囲した。

 

 共和制派は、王政の廃止と臨時政府の樹立を宣言。明らかに米国による内政干渉、というよりはCIA的な立派な「謀略」だ。

 

 すでに1830年ごろから日本人のハワイ移民は始まっていた。

 

 そこで明治政府は「法人保護」の名目で軍艦を派遣するなどして、米国のやり方に不快感を示している。

 

 実際に米国政府も、「これはやり過ぎ」とは認識していたようで、スティーブンス公使を更迭したが、勢い止まらない臨時政府は、翌年、共和国の独立を宣言、リリオカラニを反乱の首謀者として逮捕してしまう。

ハワイ諸島を統一したカメハメハ大王(1758年 - 1819年)

 結局リリオカラニは、王政派として捕らえられた約200人の命と引き換えに、女王廃位の署名を強制され、ハワイ王国は終焉を迎えた。

 

 そして1898年、ハワイは米国のハワイ準州となる。

 

 米国がハワイにこだわったわけは、プランテーションもあるが、米国の拡張政策における真珠湾の戦略的重要性があったから。

 

 米国はハワイを併合すると、真珠湾に一気に軍事施設の建設を開始した。

 

 日本が、現在の中国東北地方に、満州国を建国して「五族協和」とか叫んだのは、ハワイ併合から33年後。

 

 正直言って、満州事変とハワイ併合の質的な差がよく分からない。

 

 満州事変が「侵略行為」なら、「ハワイ併合」も間違いなく「侵略行為」だろう。

 

 だから「満州事変は悪くない」なんて言う気は毛頭ない。

 

 だが、19世紀から20世紀初頭がそういう時代だったことは事実で、少なくとも当時の日本政府の政策判断について、欧米列強が太平洋地域に進出しているという時代背景を踏まえた上で、評価すべきなのではないかとは感じる。

 

 そりゃ現代で、「満州国を作る」と言えば、かなり「頭のおかしい国」だが、当時は、周囲を見ればヨーロッパの植民地ばかり。

 

 ついでに米国もフィリピン、グアム、ハワイと次々に併合し、太平洋を渡って領土を拡張してくる。

 

 安倍首相は「わが国を取り巻く安全保障環境は厳しさを増しており…」と言っているが、当時の国際情勢を見れば、とてもそれどころじゃない。

 

 よく「歴史の評価は後世に委ねる」ってセリフがあるが、そりゃムリだ。

 

 だって後世は、自分たちの常識、つまりは現在の国際情勢を基準にしか、歴史を評価してくれないものだから。

 

 とは言え、ハワイ併合と満州事変を引き比べる時、明らかな違いもある。

 

 寡聞にしてハワイで米国からの独立運動の気運が高まっている、とはついぞ聞かないが、現在の東北3省の中国人が、「あのまま満州国だったら良かった」なんて言うとは到底思えない。

 

 これはセクハラの議論と似ている気もする。「魅力的な異性の行為」だったらセクハラと感じないとかなんとか…。

 

 とすれば、わが国は、世界から見て、かなり「魅力のない国」、つまりは「一緒にはなりたくない国」に映るのだろうということ。

 

 おのれの姿を客観視することは、いつの時代も大切だ。

ハワイ・ワイキキビーチ(撮影: www.bluewaikiki.com)

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