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防災歳時記3月29日 エルチチョン噴火と火山の冬

メキシコ南部のエルチチョン火山

 今から32年前、1982年の今日3月29日、メキシコ南部の活火山「エルチチョン山」の噴火活動が始まった。

 

 4月4日まで1週間近く続いたこの噴火で周辺の町は壊滅的な被害を受け、2000人以上が犠牲になった。

 

 その噴煙は高度1万6000メートルまで吹き上がり、大量のエアロゾルが成層圏に放出された。

 

 「火山の冬」という言葉がある。

 

 噴火活動により大量のエアロゾルがまき散らされ、直射日光をさえぎることから世界的に気温が低下する現象。

 

 巨大火山が噴火すると、その後数年にわたって寒冷化が続いたりする。

 

 このエルチチョン火山の噴火により、世界全体の平均気温は0.3℃〜0.5℃低下したと言われている。

 ところで「火山爆発指数(VEI)」という区分があり、噴火活動は、火山噴出物の量によって0〜8までランク分けされている。

 

 このエルチチョン火山はVEIでレベル5(噴出物量1立方キロメートル以上 とうしようもないほど大規模)にあたる。

 

 ちなみに1991年に起きた、20世紀最大の噴火と言われたフィリピン・ピナツボ火山の噴火はVEIレベル6(噴出物量10立方キロメートル以上 並外れて巨大)で、世界の平均気温は約0.5℃低下した。

 

 このVEIの区分によれば、エルチチョン火山クラスのレベル5の噴火が発生する頻度は50年以上に一度ぐらい、ピナツボ火山クラスのレベル6の噴火が発生する頻度は100年以上に一度とされている。

 

 それでは発生頻度が1万年以上に一度のVEIで最大クラス レベル8(噴出物量 1000立方キロメートル以上)が起きたら…。

 

 レベル8の噴火が起きたと思われるのは、インドネシア・スマトラ島にある長さ100キロ・幅30キロの世界最大のカルデラ湖「トバ湖」が誕生した約7万8000年前の巨大噴火。

 

 昨年6月に気象庁気象研究所(茨城県つくば市)が、トバ噴火をシミュレーションしたところ、この噴火により、陸上の気温は約15℃下がり、年平均降水量も現在の80%に減少、これにより温帯と寒帯の森林はほとんど全滅してしまうとの結果になったとのこと。

 

 普段われわれが当たり前に思っている、この地球環境。

 

 しかしそれは、何か一つが変わってしまうだけで、温暖化にも寒冷化にも大きく振れてしまう、極めて傷つきやすいバランスの上に成り立っている。

穏やかなインドネシア・トバ湖の夕陽。しかしそれは7万8000年前の超巨大噴火の名残り(撮影: NYC-MetroCard)

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