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「園児を早く帰したかった」石巻の幼稚園バス訴訟で元園長が証言

 東日本大震災の津波により、園児5人が死亡した私立日和幼稚園(宮城県石巻市)の遺族が幼稚園側に約2億6700万円の損害賠償を求めた訴訟の証人尋問が12日、仙台地裁(斉木教朗裁判長)であった。5日の園職員4人に続いて、この日はバスの運転手と被告である当時の園長が証言台に立った。

 

 発災当初、園内にいた園長は、「海には近づかない方がいい」「大きな津波が来ると思わなかった」という程度の認識が「頭のどこかにあったかなと思う」と証言。「一刻でも早く児童を保護者の元に返したかった」と、送迎バスの出発の指示を出した当時の心境を語った。指示の際には、大津波警報が出ていたことを知らなかったとし、その後に防災無線で聞いても、他の職員に警報発表を周知しなかったとも話した。

 

 園長はまた、園が学校健康安全法で作成が義務づけられている危機管理マニュアルを策定していたかどうかについては「記憶にございません」と話し、津波に備えた訓練や職員間での話し合いもしていないなど、日頃から防災体制や認識に不備があった可能性を明らかにした。

 

 園長の証言を受けて、園児の遺族のひとりは、園のマニュアルや避難訓練の実態について、「2年経ってやっと明らかになったこと」と話した。

 

 2011年3月11日に発生した地震直後の午後3時頃に、バスは園児12人を乗せて高台にある幼稚園を出発。海沿いの石巻市南浜町や門脇町で一部の園児を降ろし、残った園児5人を乗せたまま園に引き返す途中で津波に巻き込まれた。

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