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脂肪増殖の“鍵”を発見 メタボ治療の新たな手がかりに?

結核菌や真菌の感染防御に役立つ病原体センサー「Mincle(ミンクル)」が、脂肪細胞の増殖に関与していることが明らかに……。(写真は@hadatkoのfrickrより)

 東京医科歯科大学の研究グループは、病原体センサー分子「Mincle(ミンクル)」が、脂肪肝やメタボリックシンドロームの原因となる脂肪組織の異常増殖を引き起こすことを突き止めた。

 

 これまでの研究で、肥満に伴って脂肪組織には特徴的な構造が現れ、慢性炎症を引き起こした結果、脂肪組織が異常増殖して本来のホルモン分泌機能が破綻して糖尿病や虚血性心疾患のリスクが高まることが分かっている。一方で、慢性炎症が脂肪の蓄積に果たす役割は解明されていなかった。

 


 そこで、同大学の菅波孝祥特任教授らの研究グループは、炎症を引き起こしかけている脂肪組織で、どんな分子が現れているかを分析。その結果、結核菌や真菌などの病原体に対する感染防御の役割を果たす「ミンクル」が、脂肪組織で増えているのを発見した。

 

 「ミンクル」が脂肪組織の増殖を促進し、本来ならば脂肪の少ない肝臓などに脂肪を蓄積すると考えられ、研究グループは「ミンクル」の機能を失わせた実験用マウスと野生マウスを使って比較実験を実施。高脂肪食を与えて太らせたところ、実験用マウスでは脂肪組織の増殖が少なく、肝臓への脂肪蓄積が抑えられて、全身の糖代謝に異常が見られないことが判明した。

 

 一方、「ミンクル」の機能を活性化させる特殊な糖脂質を、太っていない野生のマウスに直接投与した結果、それだけで脂肪組織に増殖が見られたこともわかった。

 

 菅波特任教授は「肥満している人は、脂肪肝を発症しやすいことが知られているが、日本人は欧米人よりも肝臓に脂肪を蓄積しやすいため、ミンクルの関与を調べてみたい。将来的に、メタボリックシンドロームの診断や治療に結びつく可能性がある」と期待している。

 

 この論文は、英科学誌「Nature Communications」電子版に掲載された。

高脂肪食を与えた実験その1

高脂肪食を与えた実験。右のミンクル欠損マウスは、脂肪組織の増殖(線維化)が抑制された(青い部分が線維化領域)(図は論文より転載)

高脂肪食を与えた実験その1

高脂肪食を与えた実験。右のミンクル欠損マウスは脂肪肝が顕著に軽減した。細胞内の白く抜けている部分に脂肪が蓄積している(図中の紫が肝臓細胞)(図は論文より転載)

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