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ジョギングの衝撃「脳を揺らして認知症予防に」いいことずくめ

ジョギングの衝撃が脳に刺激を与えていた!

 「運動が健康にいい」とは誰もが知っているが、どんな運動をどれくらいすれば効果があるかについては、ほとんどわかっていない。

 

 国立障害者リハビリテーションセンター研究所と東京大学などの共同グループは、軽いジョギング程度の運動によって、頭部に伝わる衝撃が、脳機能の維持や調節に効果があることを、動物実験で突きとめた!さっそくきょうから走ってみようか。

上下方向に1Gの衝撃

 先月31日に米科学誌『iScience』に掲載された論文によると、研究グループは、ラットの頭に加速度計を装着し、適度な運動と考えられている分速20メートルで走らせたところ、前足を着地させる瞬間、上下方向に約1G(重力加速度の単位)の衝撃を受けることがわかった。マウスでは分速10メートル、人間の場合は時速7キロで走ったときに、同じ衝撃を受けることも確認。

 

 続いて、麻酔したマウスの頭を毎秒2回上下に動かして1Gの衝撃をくわえる実験を1週間続けた結果、けいれんなどの幻覚反応が抑制されることもわかった。

 

 この幻覚反応は、神経伝達物質セロトニンが引き起こすもので、攻撃的になったり、反抗的な行動をとることもあるという。そこで上下動の衝撃をくわえたラットの脳をMRI(磁気共鳴画像)で観察したところ、脳内の体液が秒速1マイクロメートルで流動することが判明。

頭部に1G程度の衝撃を与えると、大脳皮質の体液が動いて、セロトニンの働きが抑えられる(国立障害者リハビリテーションセンター研究所)

セロトニンの働きを抑制すると

 大脳皮質の神経細胞を培養したもので、この動きを再現してみると、セロトニンを受け取る仕組みが変化して、幻覚反応が起こりにくくなることが裏付けられたという。

 

 衝撃を受けても、脳内の体液が動かないように、ドロドロしたゲル状物質を注入したマウスでは、幻覚反応は抑制されなかったことから、研究グループは運動で頭に適度な衝撃を受けると、脳内の体液が移動して、神経細胞に物理的な刺激がくわえられることで、脳機能を調節している可能性があると結論づけた。

 

 特に、高齢者や足腰の自由が効かない障がいがある人にとっては、筋肉の萎縮や骨粗鬆症といった運動面以外にも、認知症など脳機能の低下をまねくことが指摘されている。リハビリテーションセンター病院の澤田泰宏臨床研究開発部長は、「今回の研究成果を高齢者や障がい者に応用するとしたら、寝ているベッドを動かすのではなく、立つか座るかした状態で衝撃を与えることになるだろう」と想定している。

軽いジョギング程度の運動は、脳内の細胞に物理的刺激を加える(国立障害者リハビリテーションセンター研究所)

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