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新型肺炎「熱が1週間 その後に回復か肺炎」国内致死率は武漢より低い可能性

新型肺炎の国内患者の治療にあたっている国立国際医療研究センター

  大型クルーズ船での集団感染の影響で、国内では新型コロナウイルスによる感染者の数が90人を超えた。こうしたなか、国立国際医療研究センターのチームが、治療した国内の症例について、「感染すると風邪のような症状が1週間程度続き、その後に回復するか、肺炎になる傾向があるようだ」と明かしたうえで、「国内での致死率は武漢に比べて低いと推定できる」という見解を示した。

 

 日本感染症学会と日本環境感染症学会は今月7日、東京都内で新型コロナウイルスへの対応に関する医療従事者向けの緊急センターを実施した。席上、国立国際医療研究センターの大曲貴夫・国際感染症センター長が、3人の患者の症例を報告した。

HIV/エイズ治療薬を処方

 1人目は湖南省から1月20日に来日した33歳の中国人女性で、23日から喉の痛みと37.5度の熱を訴えて受診。しかし、このときは喉は赤くなっておらず、一度帰宅した後の27日に、新たに咳や痰、頭痛などの症状で再び来院。胸部レントゲン検査で肺に影はなく、インフルエンザや溶連菌の検査を行ったが、いずれも陰性だった。

 

 尿検査でわずかに細菌が見つかったので腎盂腎炎だと考えて治療したが、その後も熱や咳、痰が続いたので3日後に受診した際に、レントゲン検査で肺に影が写ったため、初めて新型コロナウイルスだと疑われたという。

 

 30日の入院後にCT検査を実施した結果、肺にすりガラス状の影が確認され、喉の拭い液からウイルスの陽性反応があった。HIV/エイズの治療薬として使われる「ロピナビル/リトナビル」を処方したところ、入院から5日目、初診から11日目の2月3日に解熱し、酸素吸入の必要がなくなったという。

33歳の湖南省の女性のレントゲン写真(国立国際医療研究センター)

レントゲンやCTでも影はなく

 一方、2018年5月から仕事で武漢市に滞在していた54歳の日本人男性は、27日から喉の痛みと鼻水が出始めたので市販の風邪薬を服用。帰国する際の29日の飛行機内で悪寒がして、熱を測ると37.1度あったことから、帰国後即入院となった。

 

 男性は入院後、熱が38.7度まで上がったが、呼吸状態に問題はなく、30日に陽性反応を確認。胸部レントゲンやCT検査を行ったが、いずれも肺の影は見られず、入院後6日目まで37度台の熱と倦怠感が続いた。

 

 3人目の41歳の日本人男性は、仕事で昨年12月20日から武漢市に滞在していて、帰国した1月31日から38度の熱と咳があったため、新型肺炎を疑って入院。その後、体温が38.3度まで上がったが、呼吸に問題はなく、2月1日に胸部レントゲン検査とCT検査を行った結果、すりガラス状の影が写ったものの、酸素吸入器の必要はなく、微熱が続いたが、それ以上の悪化はなかったという。

ふたりめの54歳の男性にはレントゲン検査で肺に影は見つからなかった(国立国際医療研究センター)

致死率は

 中国・武漢市でこれまでに報告されている41人の入院患者の症例では、39%が集中治療室での治療が必要となり、17%が重度の呼吸不全を起こしている。

 

 大曲氏は国際医療研究センターで治療した3人の患者では、肺炎を伴わない症例も含まれて、重症ではなかったと指摘。

 

 そのうえで、新型コロナウイルスの致死率は武漢市が最も高く、湖北省、中国全体、世界全体に広がるにつれて、致死率が下がる傾向にあるとして、「日本国内では今後、感染そのものを封じ込めることを目的とするより、重症患者を早く見つけ、致死率の低下と患者を適切に受け入れる医療体制の確率を目指すべきだ」という見解を示している。

 

 

国際医療研究センターの医療従事者の治療時の防護服

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