「南海トラフ巨大地震対策検討ワーキンググループ」(WG)は18日、南海トラフ巨大地震の発生による被害想定の第2次報告を行なった。これは、昨年8月に「死者32万人」と人的・建物の被害について想定見直しを行なった第1次報告に続き、施設・経済的な被害を想定したもの。
それによれば、経済的被害は国家予算の総額の2倍にあたる約220兆円、避難者は950万人にのぼるなどと試算している。
第2次報告では、「千年に一度あるいはそれよりもっと低い頻度で発生する地震」との想定であり、防災・減災への取組みを行なうことによって、被害は大きく低減できるとした上で、以下のような被害想定を明らかにしている。
【ライフライン】
◯上水道
被災直後で、最大約3,440万人が断水
◯下水道
被災直後で、最大約3,210万人が利用困難
◯電力
被災直後で、最大約2,710万軒が停電
◯通信
被災直後で、最大約930万回線が通話不能
◯都市ガス
被災直後で、最大約180万戸の供給が停止
【生活への影響】
◯避難者
1週間後に最大約950万人
◯帰宅困難者
一時的に滞留する人が約1060万人、その後帰宅困難となる人が約220〜270万人
◯物資の不足
発災後3日間ので食料の不足が最大約3,200万食、飲料水の不足が最大約4,800万リットル
◯災害廃棄物
約3億1千万トン
◯エレベーターでの閉じ込め
最大約2万3千人
【経済的な被害】
◯被災地における直接的な被害
169.5兆円
◯生産・サービス低下に起因するもの(全国)
44.7兆円
◯交通寸断に起因するもの(全国)
6.1兆円
◯経済的被害総額
220.3兆円
第2次報告では、経済的被害についても、防災・減災対策を推進することにより軽減されるとしており、建物の耐震化率(現状約79%)を100%に向上させるなどすれば、被災地における直接的な被害額約170兆円を約80兆円と、ほぼ半減できるなどと試算している。