• FUKUSHIMA
  • RSS

【連載】「この1枚を忘れない」

プロローグ...

あなたにとって、忘れられない写真はありますか?

フォトグラファーをはじめ、クリエイターや俳優など、毎回各界で活躍する著名人が撮影した災害にまつわる写真を紹介。そこに秘められためた想いに耳を傾けることで、これから我々ができることを探っていきたい。

第1回 「震災で折れた枝、下向きに桜の花が咲く」 撮影/大杉隼平

 

撮影場所/福島県相馬市 撮影日時/2011年4月下旬



「原発から20キロ圏内で感じたのは、人の気配がしない、何の音もしない、ただ風の音が聞こえるだけ。無音に近しい中で景色を見たときに、『ああ、時が止まってしまったんだ…』と感じました。」

東日本大震災後、“何かしなければ”という一心で被災地に向かった人は少なくない。雑誌や広告を中心に活躍するフォトグラファーの大杉隼平さんも、そのひとり。救援物資を運ぶために、被災地に駆けつけたという。

 「相馬漁港に向かっている途中で、圧倒的に変わった風景を見て、この瞬間を忘れてはいけないと思いました。」 約200枚撮影したなかで、今回はとくに思い入れが強い1枚を見せてくれた。それは、枝が地面に向かって折れ曲がった桜の写真。下向きに咲いた桜の花に、生命力を感じずにはいられない。

「この建物の後ろは海で、1番最初に津波の被害にあった場所だったと記憶しています。そこで咲いていた桜の花を撮影しました。自分の言葉では説明できないのですが、この写真を見てくれた人たちからは、“力強さ”や“希望”を感じる、と言ってもらえたのでこの1枚を選びました。僕は言葉を伝える立場ではないし、本当の想いが伝わりにくいからこそ写真から想像してほしいです。」

その後、大杉さんは被災地支援の団体『Leaves Work』を立ち上げ、幾度となく被災地に脚を運んでいる。また、これまでに東京・神戸・福島・北海道で、被災地を撮影した写真や、福島から届いた想いや声、Leaves Workで制作した作品の展示会を開催。そのなかで、たまたま立ち寄ってくれた来場者の親戚の子が写っていたり、実家が写っていたり、と不思議な出会いもあったそうだ。それはきっと、“頑張って”“頑張ります”ではなくて、“一緒に頑張ろう”という気持ちで発信している大杉さんの写真に引き寄せられたのではないか。

最後に、いま私たちができることは何かと聞いてみた。

「何かをしたいけど、何から始めたらいいかわからない人たちがいると思います。まずは、身近な人たちに感謝すること。いまの日常を、小さなことでもいいので大切にしてほしいです。」


Leaves Workの活動

「同じ空の下、みんなが繋がっていられますように・・・」
東日本大震災から1年の節目に合わせ、2012年3月11日に、世界中の「空」の写真を応募。47都道府県、世界38カ国の7921人から集まった空の写真と想いをつなぎ合わせた、世界で1つの「空」を制作。岩手、福島、宮城、茨城に寄贈。

警戒区域の一部解除になっている土地に住んでいる方のコンテナに絵を飾る。
南相馬市民に書いてもらった想いを、表参道で開いた展示会場に並べ、読んだ来場者に、指に絵の具をつけて福島県へのエールを描いてもらった作品。
 「そこを通った人たちが明るい気持ちになれるもの、元気になれるものを作りたかった。」

プロフィール

大杉隼平
1982年、東京生まれ。ロンドン芸術大学で写真やアートを学び、帰国後、写真家アシスタントを経て、株式会社ZACCOに所属。
現在、雑誌、TV、広告、CDジャケット、カタログ、宣材写真などでの活動は多岐にわたる。また、被災地支援の団体『Leaves Work』を立ち上げ代表を務めている。「人の想いを繋ぐ、伝える」写真展を全国で開催。

一覧にもどる

メニュー